品種の移り変わり

 

日本におけるバラの品種の移り変わり


[ ~1990年代 ]

同一品種が大量に生産され、色ごとに定番品種が決まっていました。

剣弁高芯咲き *1 *2 のバラらしい花形がほとんどで、ローテローゼやパレオ90など、日本国内で育種された品種も生産されていました。

*1 剣弁=開花すると花弁の先が反り返り、花弁が尖った形になるもの

*2 高芯咲き=開花すると中心部分が高くなる咲き方

(写真左から)

[赤] ローテローゼ  浅見均 日本 1986年作出

日本の育種家、浅見均氏によって作り出されたバラ。1980年代後半から2000年代まで、日本の切花の赤バラと言えばローテローゼで、大ヒットしたロングセラーのバラです。

[ピンク] サフィーヤ  タンタウ ドイツ 1993年日本発表

1990年代から2000年代までのピンクの定番品種。サーモンピンクの花色が鮮やかで、きれいに開花します。

[オレンジ] パレオ90  京成バラ園芸 日本 1990年作出

日本人の育種家、鈴木省三氏によって作り出されたバラで、オレンジの大ヒット品種。1990年に発表された為、品種名の後に90が付きます。

[黄色] デュカット  タンタウ ドイツ 1989年日本発表

1990年代から2000年代までの黄色の定番品種。形の良い剣弁高芯咲き。夏場には花色がやや薄くなります。

[白] ティネケ  テラニグラ オランダ 1984年作出

緑を帯びたさわやかな白色で、ブライダル用の花として長く愛され続けているバラです。

 

[ 2000年代~ ]

多様化するニーズや日本人の好みに合わせた品種の育種が進み、メルヘンローズ(大分県)や今井ナーセリー(広島県)など、日本国内の育種家が数多くの品種を作出し始めました。

また、増加する輸入バラへの対抗策としても、これまでの高芯剣弁咲きの花からカップ咲き *3 ロゼット咲き *4 のアンティークタッチのバラや、香りに注目したバラなどが育種されるようになりました。その結果、生産地での多品種栽培化が進みました。

*3 カップ咲き=花弁が反り返らずに丸みを帯びた形の咲き方

*4 ロゼット咲き=開花した花の中心に多くの小さな花弁が放射状に重なり合うように咲く咲き方

(写真左から)

ファンシードレス  今井ナーセリー 日本 2008年作出

日本を代表する育種家、今井清氏(広島県)によって作り出されたバラ。花色はチェリーピンクで外弁はややグリーンがかります。切花における大輪のロゼット咲きのブームの先駆けとなった品種です。

ラ・シャンス  今井ナーセリー 日本 2008年作出

同じく、今井清氏によって作り出されたバラ。花名はフランス語で「幸せだね」という意味を持っています。コーラルピンクの大輪。ディープカップロゼット咲きでティーの香りがします。

モンシュシュ  今井ナーセリー 日本 2009年作出

同じく、今井清氏によって作り出されたバラ。花名はフランス語で「私のお気に入り」という意味を持っています。丸弁カップ咲きでティーの香りがします。

M-ヴィンテージレッド  メルヘンローズ 日本 2005年作出

メルヘンローズ(大分県)作出のバラ。ヴィンテージシリーズの第一弾で、大輪系のスプレーバラをブームを牽引してきました。花名の「M」はメルヘンローズのオリジナル品種に付きます。

M-ヴィンテージピンク メルヘンローズ 日本 2005

同じく、メルヘンローズ作出のバラ。ヴィンテージシリーズの第二弾でブライダル用の花材として愛されて続けているバラです。

 

[ 現在 ]

年間で約1.000品種のバラが流通し(大田花き)、多種多様なバラを楽しむことができるようになっています。

(写真左から)

エンジェルキッス、オール4キュート+、グランドジュビリー、オリエンタルエクレールなど、変わり咲きのバラやガーデンローズによく見られるグリーンアイの品種などが続々と登場しています。